消えゆく町の書店と、傷を負った男性の再生の物語。 「救えていたら何かが変わったのだろうか?」 あの日の記憶から生き延びるために。 父の形見である小さな書店を妻のラウラと二人三脚で切り盛りしてきたシモンだが、時代の波には逆らえず、店をたたむ決意をする。ラウラは大手のチェーン店に身売りをしてはどうかと提案するが、家族の名前を売ってしまうようで、シモンは気乗りがしない。店の閉店準備をしていたある日、シモンは森の中にある倉庫から車で本を運び出す途中、中年女性の自殺現場に遭遇する。その衝撃的な出来事が、長らくシモンが封印していた記憶の扉を開くことになる――。 母国オランダはもちろん、欧米のさまざまな国で絶賛される女性作家エメー・デ・ヨングの本邦初訳。 彼女の評価を決定づけたグラフィックノベル第1作。 人間の弱さに対する透徹した眼差しと慈しみが交錯する静かな傑作。 オランダのテレビ局でドラマ化されるなど反響の大きかった作品。出版翌年の2015年にベルギーの歴史あるマンガ賞サン=ミシェル賞(Prix Saint-Michel)で、最優秀オランダ語圏作品賞を受賞している
■Aimée de Jongh(エメー・デ・ヨング ・著/文)
1988 年オランダ生まれ。ロッテルダムのウィレム・デ・コーニング・アカデミーでアニメーションの学位を取得後、25 歳からグラフィックノベルの執筆を始める。国内外で評価が高く、2022 年にはオランダのマンガ家に贈られる生涯功労賞「マンガ家協会賞(Stripschapprijs)」を34 歳という異例の若さで受賞。オランダで今最も才能のあるグラフィックノベル作家と評されている。『身体の老いとともに感情もまた老化する』が外務省主催の日本国際漫画賞第12 回優秀賞、『砂日々』が第15 回最優秀賞を受賞するなど、日本でも既に一部で高く評価されていたが、作品が翻訳出版されるのは今回が初めて。2024年には、ウィリアム・ゴールディングの小説をグラフィックノベル化した『蝿の王(Lord of the Flies )』がイギリスのfaber 社から発売され、大きな注目を集めた。2024 年9 月から2025 年2 月まで、ロッテルダムの芸術ホールにて回顧展「ストーリーラインズ(STORYLINES)」を開催。
■川野夏実 (翻訳)
宮崎県出身。東京外国語大学外国語学部を経て、京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。オランダ生まれのミッフィーと語学が好きで、ライデン大学オランダ学科に留学してオランダ語を学んだ。現在オランダ在住。夢は翻訳家としてオランダ語圏のグラフィックノベルを日本に広めること。訳書にバーバラ・ストック『ゴッホ最後の3年』(花伝社、2018 年)、ディド・ドラフマン『小さなベティと飛べないハクチョウ―ひとりぼっちのヤングケアラー』(花伝社、2022 年)。
出版社 : サウザンブックス社 (2025/4/18)
発売日 : 2025/4/18
言語 : 日本語
単行本(ソフトカバー) : 172ページ
ISBN-10 : 4909125604
ISBN-13 : 9784909125606
寸法 : 26 x 19.3 x 1.8 cm
Le retour de la bondrée
Aimée De jongh
L'histoire de Simon, jeune libraire au bord de la faillite, marqué par un événement dramatique, va devoir faire face à ses souvenirs. Entre rêve et réalité, entre passé et présent, un récit intimiste et touchant en noir et blanc, réalisé par une jeune et talentueuse auteure néerlandaise, Aimée de Jongh. Récompensée en 2015 par le Prix Saint-Michel (Bruxelles).